賛否両論 世界遺産の森を貫くモノレール計画

ここ半年ほどQueenstownとMilford Soundを繋ぐモノレールの計画がニュースなどで時折取り上げられています。

国と自治体、そしてそれを推進する企業、そしてもちろん国民の間で「モノレールを走らせること」で得られるもの、失うもので議論されて続けています。

今回のお話しはそのモノレール計画についてです

QueenstownとMilford Soundを繋ぐモノレールの計画

そもそもその計画を知らない方も多いと思うので「良い悪い」を抜いた計画の概要みたいなものをお伝えします。

この計画は従来あるQueenstownからMilford Soundの入り口に当たるTe Anau Downsまでの全長約200キロの車の移動の代わりとして、そのほぼ半分の約100キロのショートカットコースを作ってしまおうと言うものです。

skitched-20140112-131841

その100キロのうち約20キロをQueenstownの目の前にある湖を渡る船で。そして次の約45キロを既存の山道を整備してそこを専用バスで。そしてここからが問題となっている森の中を突き抜けるモノレールで行くというものです。

簡単に地図にするとこういう感じになります。

より大きな地図で Queenstown-Te Anau Monorail を表示

赤いラインとオレンジのラインが従来の行く道。
そしてQueenstownから左に出ている青いラインが船。そして茶色いラインが専用バスでの移動、そして緑がモノレールとなります。

所要時間はQueenstownからTe Anau Downsまで約2時間。
料金は今のところ179ドル程度になると言われています。

モノレール推進派の意見

このモノレール計画を強く推しているのは、土地開発などで多額の財産を持つBob Robertsonです。彼はこのモノレール計画の母体となるFiordland Link Experienceを所有しています。

この全長43キロのモノレールができれば、世界最長になるそうです。

今までより短い時間で、より快適に、しかも今までなかなか見ることができなかった世界でも有数のブナの原生林を目の当たりにできるのは多くの観光客を惹きつけ、現状よりさらに年間で2万人の観光客を呼ぶことになるとRobertson氏は訴えています。

skitched-20140112-132633
© Bob Ibbotson

上記を含めてモノレール化することで得られるメリットは

  1. 車と比べて静かで排気ガスが出ない
  2. 観光客が途中止まったりしないので、ゴミが出たり環境破壊が起こらない
  3. 途中で起こる事故が減る
  4. 今までより手軽に行けることによる観光客の増加
  5. 多くの雇用を生むことで経済が活性化される

などが挙げられています。

とにかくRobertson氏は、この計画によっていかに国や自治体に利益がもたらされるか、また計画によって自然は破壊されないことを強調しています。

モノレール反対派の意見

モノレール計画に反対しているのは、地方自治体やフィヨルドの自然を守る団体たちです。

反対側のポイントはまず自然破壊です。
この計画は着工から完成まで4年かかると言われています。そのあいだに概算で2万本ものブナが伐採され、4年に渡って工事を行うことでフィヨルドに生息する動物たちの生態系も崩してしまうのでは?と懸念されています。

そして別のポイントは、このプロジェクトはたしかに国にとって大きなお金を生みます。

skitched-20140112-132356
© Katrina Koger

ところが、このモノレール計画が完成すると今までMilford Soundの入り口の街として栄えていたTe Anauはルートから外れてしまいます。
それによってTe Anauの街で観光客相手にビジネスをされている人はもちろん、Queenstown – Te Anau – Milford Soundというルートでビジネスをしてきた観光業を営んでいた人たちは大打撃です。

そして、その分の利益を得るのはFiordland Link Experienceを初めとした計画を推進するRobertson氏が所有するビジネスが利益を独占することになるとも述べられています。

個人的に思うこと

ニュージーランドはかなり観光に依存している国です。

この国の大自然を売り物にして世界中から観光客を呼び込んでいます。またその大自然を使った映画撮影の地としても、他の国よりも率先した誘致を行っています。

なのでその1手として、このモノレール化を勧めてしまうのが良いか悪いかそれぞれの見る視点によって大きく意見が分かれています。

環境省のDr Nick Smith氏が去年の10月にヘリコプターで視察を行い、彼自身この件について世界遺産の観点からモノレールを通していいのかどうか、更なる検討が必要であると述べています。

今まで厳しく手を付けることを禁じていたある意味、聖域のようなMilford Sound。
それに一度手を付けてしまったら、そのあとの歯止めは利かなくなって次の案件も断れなくなってしまう。そして更なる環境破壊が行われてしまうのでは?と個人的には思います。

国として、また巨万の富を持つビジネス家として、目先のお金が欲しいのはわかりますが、ここは手を付けてはいけないところなのではないでしょうか。

皆さんはどう思いますか?

こんな記事もよく読まれています

COMMENTS