NZ乳製品から致死性の高い菌 世界規模で回収

姉妹サイトの「しみこむ英単語」でも昨日紹介したニュースなんですけど、ここ数日各国でニュージーランドの乳製品の輸入禁止が取り沙汰されています。

と言うのはニュージーランド最大手であり、世界最大の乳製品会社であるFonterra(フォンテラ)が生産したごく一部のホエイプロテイン(乳清)から致死性が非常に高い菌ボツリヌス菌が発見されたからです。

今回はちょっと怖い話です。

このニュースを紹介する前に幾つか基礎知識というか、ニュースに出てくる言葉を説明しておきたいと思います。

Fonterra(フォンテラ)って何?

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© Ian Munnings

Fonterraは2001年にニュージーランドの複数の乳製品会社が国際競争力を強化するために統合して生まれた企業です。
牛乳やチーズのブランドAnchorやアイスクリームのTip topやKapitiはフォンテラのブランドです。

ニュージーランドだけで140億リットル、世界全体で200億リットルの生乳生産量を持ち、日本で有名なネスレやダノンなどと並ぶ世界的な乳製品の会社です。
そして生産された95%の乳製品は輸出されています。

ちなみに乳牛1匹からは年間8,000リットルの牛乳が取れるそうです。
なので、フォンテラが抱えている牛の数は単純計算で1,750,000頭ということになりますね。

ホエイプロテインって何?

ホエイプロテインというのは、牛乳が原料の乳清と言われるタンパク質(プロテイン)です。

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© Liliana Fuchs

一番わかりやすいのはヨーグルトを冷蔵庫に入れておくと上に溜まる液体が乳清です。
それ以外だとチーズを作るときに固形物(チーズ)と分離された液体も乳清で、チーズを作る際に副産物として大量に作られるため、安価で流通しています。

この乳清は高タンパク、低脂肪で栄養価が高く、さらに消化が早かったり、インスリン分泌を促進する効果があるそうです。

もちろんその乳清をそのままごくごく飲むわけではなく、何らかの加工が施されて製品として世の中に出回ることになります。

ボツリヌス菌って何?

ボツリヌス菌は細菌の一種で、その菌が作り出すボツリヌス毒素は殺傷能力が非常に強いことで知られています。

毒で有名な青酸カリの殺傷能力は1gあたり5人です。それでもかなりすごいんですけど、ボツリヌス毒素は1gで100万人と言われています。
つまり単純計算で500gあれば全人類を滅ぼすことができるほど強力な毒素を持っているわけです。過去にオウム真理教が生物兵器としての研究すら行っていた恐ろしい菌です。

ボツリヌス毒素は主に四肢の麻痺を起こします。呼吸筋などが麻痺すると呼吸ができなくなり死に至ります。

ボツリヌス菌は熱に非常に弱く100度で1-2分加熱することで菌は死んでしまいます。
そのためボツリヌス菌による食中毒を防ぐには加熱してから食べることが非常に効果的です。

今回の騒ぎについて

そんな簡単な基礎知識を踏まえた上で、今回フォンテラが起こした騒ぎについて紹介していきたいと思います。

ホエイプロテイン(乳清)はフォンテラが別の企業に売り、それを購入した企業が赤ちゃんが飲む粉ミルクやスポーツドリンク、プロテインなどを作っています。

2013年8月3日、2日前にフォンテラは安全性を確かめるテストの最中に致死性のある菌、ボツリヌス菌がごく一部の製品の中に含まれていたことがわかったと発表しました。

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© Daniel Horacio Agostini

2012年5月に製造された42トンの乳清の中からランダムに抜き取って安全性を確かめたところ、その中の3つからボツリヌス菌が発見されました。
この乳清が含まれている商品は中国、オーストラリア、ベトナム、タイ、マレーシア、サウジアラビアの8社へ輸出された可能性があるそうです。
ただそれがどの企業なのかは明かされていません。

今現在は直接的に販売した企業から合計で1,000トンにも及ぶ製品がリコールされることになりましたが、幸いにもこれらの製品が原因で具合が悪くなった人は報告されていないそうです。

ただ、ニュージーランドに取って一番の販路であった中国はこの件が落ち着くまでニュージーランド産とオーストラリア産の乳製品の輸入禁止を決定しました。
またロシアは影響のある商品は確認されていませんが、市場から閉め出しという処置が取られました。

13億人もいる中国のなんと全体の90%がニュージーランド原産の乳製品に頼っているそうです。金額にして年間で24.5億NZドル、日本円だと約2兆円です。

今後、この騒動が落ち着くまで中国国内の乳製品の価格高騰や他の国への需要が急激に高まることが予想されているそうです。

ちなみにニュージーランド国内では赤ちゃん用の粉ミルクKaricare Infrant Formula Stage1 (0-6ヶ月)の製造番号が3169と3170のみリコールがかかっています。

個人的に思うこと

ニュース全体を見ていて、この発見された菌の量とか、具体的にどこに卸されたのかなどフォンテラが詳細を発表していないことがすごく怖いです。

しかも、フォンテラは過去6年間でボツリヌス菌が絡む問題を今回のを含めて3回起こしています。
初めてではないんですね。

世界最大手の乳製品を製造する企業として、今後どう対応するか次第ではニュージーランドの酪農全体はもちろん国の経済に与える影響も相当あるのでは?と思ったりします。

キチンとした対応をして欲しいですね。

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