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今回紹介するニュースは一見すると「え?いったい何のこと?」となってしまうニュースを紹介します
世界的なヒンドゥー教の団体がニュージーランドの紙幣を発行しているReserve Bank of New Zealand(ニュージーランド準備銀行)に「牛」を使わない紙幣を作るよう訴えかけたそうです。
「牛を使わない紙幣」いったいどういうことなのでしょうか。
牛を使わない紙幣を使うよう要求されたニュージーランド

ニュージーランドの新聞社Stuff.co.nzによると、ヒンドゥー教の団体(The global Universal Society of Hinduism)が、ニュージーランド準備銀行に「牛を使わない紙幣」を使うよう促したそうです。
その団体はニュージーランド準備銀行に対して
ヒンドゥー教の人たちに対する敬意を見せるべきである。牛を使わない紙幣を作って欲しい
と語ったとか。
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え?ニュージーランドの紙幣に牛なんて描かれていたっけ?と思いますよね。
手元にニュージーランドの紙幣を持っている方は手に取って見てみてください。「牛を使わないで欲しい」の意味わかりますか?
実はニュージーランドの紙幣に牛は描かれている。。。。わけありません。もちろん牛の絵は描かれていません。だからといって紙幣は牛の皮で作られているわけでもないし、不思議ですよね。
実は紙幣の原材料に牛を使ったものが使われている
ここで驚いたのですが、ニュージーランドをはじめとした多くの国で使われているプラスチック紙幣(ポリマー紙幣)には牛や羊の脂「獣脂 Tallow」がごく少量ではありますが使われています。
ヒンドゥー教は牛を神聖な動物と見なしているため、その団体はその獣脂を使わないお札を使って欲しいと訴えたわけです。
どうして樹脂を使うのか?というと、獣脂を使わないとプラスチックの紙幣が帯電して、さまざまな問題を引き起こしてしまうからです。
「ごく少量」とはいっても、そもそも牛を神聖な動物として崇めるヒンドゥー教の人や、菜食主義者の人たちにとって獣脂が使われたお札は触りたくないということのようです。
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使われる脂の量は問題ではない
2016年にイギリスが紙幣をポリマー紙幣に切り替える際、菜食主義者たちがポリマー紙幣に使われている樹脂を巡って反対デモを起こしました。
その中で問題として取り上げられたのは主に2つの声でした。
- 菜食主義者やヒンドゥー教徒の人たちが「獣脂」が使われたものを使いたくないという声
- 動物から生成される=紙幣のために大量の動物が殺されるのはよくないという声
1番の宗教的なもの・思想的なものは紙幣に使われている脂の量が多い少ないにかかわらず「嫌なものは嫌」「受け付けないものは受け付けない」ので、異論を唱えても意味がありません。
そして2番目の「紙幣のために動物が殺されるのはよくない」という声に関しては様々な調査が行われた結果「それは騒ぎすぎでは」という声が出たそうです。
というのも、当時イギリスで発行された5ドル紙幣 約3.3億枚で使われていた獣脂は23キロと試算されました。23トンではありません。23キロです。
23キロの獣脂がどのくらいか?というと、平均的な体重、約900キロの牛から取れる牛脂は40キロもあります。つまり1頭の牛から取れる牛脂は5.8億枚分に紙幣に相当するということです。
イギリスでは年間食用で260万頭の牛が食用になっており、その過程で取れる牛脂は年間で10万トンにも及びます。
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つまり牛脂を取るために牛は殺されていないということですね。
宗教的な問題・思想的な問題は難しい
こういった問題をみるといつも思うのは、宗教的な問題や思想的な問題は難しいということです。
話をややこしくするのは、純粋に宗教や思想を振りかざすだけでなく、それをキッカケに大きなビジネスを生み出そうとしている人たちです。
お互いがお互いに都合の良い調査結果を出してくるため、いったい何を信じたら良いのか、誰を信じたら良いのか、わかりにくくなってしまいます。
今回の件も同じです。純粋に宗教上の問題や思想の問題で「獣脂」が使われているお札を使いたくない人もいるかもしれませんが、それだけではないように思えてなりません。
また今回は触れませんでしたが、獣脂の代わりにパーム脂を使うという案もあるそうです。それによってヒンドゥー教の人は静かになるかもしれませんが、パーム油を使うことで、新たな問題が生まれてくるそうです。
今後、ニュージーランドのお札で獣脂が使われなくなるのかはわかりませんが、今後また動きがある場合は続報として紹介して行きます。
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情報元:Stuff.co.nz | スラド ほか