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ニュージーランドに来たことがある方なら、ニュージーランドがニュージーランドの固有種を守るために、海外から植物の種や菌糸、さらに動物などが入ってくることを厳しく取り締まっていることを知っている方は多いと思います。
そんな外来種に厳しい国ニュージーランドが、2013年から日本の蝶を輸入・繁殖させ、とうとう今年全国数カ所に合計で数千匹も解き放ったそうです。
いったい何のために日本からわざわざ蝶を輸入・繁殖させ、野に放ったのでしょうか。
日本固有の蝶がニュージーランドの野に放たれる
ニュージーランドに輸入され、栽培されえている蝶は「アサマイチモンジ 浅間一文字」と呼ばれる本来日本固有の蝶です。
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大きな分類でいうとアゲハチョウの仲間、さらに細分化するとタテハチョウという蝶の一種です。この辺は虫に詳しくないと何の話かサッパリですね。
2013年にニュージーランドのある専門家がこの蝶を国の許可を得て輸入。ワイカト地方のKarangahake Gorgeで繁殖を始めました。
蝶はペアリングが難しく、なかなか繁殖に成功することができませんでしたが、研究者たちのさまざまな試みが実り2016年に繁殖にやっと成功します。そして今年、全国数カ所で1000匹ずつ放たれることになりました。
でもいったいどうして日本からわざわざ蝶を輸入しなければならなかったのでしょう。
自然を保護するために輸入された蝶
日本から輸入されたアサマイチモンジという蝶は、いったい何のために繁殖されたのか?というと、ニュージーランドの森を守るためなんです。
ニュージーランドでは現在、「スイカズラ」と呼ばれる「つた植物」が問題になっています。
このスイカズラが植物に巻き付きながら成長し、最終的に森の植物が枯れてしまうそうです。そのためニュージーランドの固有植物・原生林を守る団体から厄介者扱いされています。
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さらに問題を大きくしているのがスイカズラの驚異的な成長スピード・回復スピードです。また冬の寒さにも耐え忍び枯れないことから駆除がなかなか捗りません。
だからといって除草剤を撒いてしまうと、他の植物や生態系にも影響する可能性があります。
もともと1872年に日本から生け垣を作るために輸入されましたが、1926年には野生化し全国に拡散していきました。
なぜスイカズラを駆除するためにアサマイチモンジが選ばれたのか?というと、アサマイチモンジの幼虫はスイカズラやスイカズラと同じスイカズラ科のニシキウツギと呼ばれる「つた植物」だけを食べて成長するからです。
つまり除草剤で駆除するのではなく、スイカズラしか食べない虫を連れてきて全部食べさせようというわけです。
専門家によると、今回のことは農薬を行わずにペストを駆除する方法として大きな布石になると述べています。
とはいえ解決までは先の長い話
今回、全国で大量のアサマイチモンジの幼虫が野に放たれましたが、これによって1ヶ月後、2ヶ月後にスイカズラが無くなるというわけではありません。
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効果が目に見えてわかるようになるまでに5年から10年の歳月を必要とするようです。そこで今後も科学者は繁殖を続け、全国にアサマイチモンジの幼虫を放っていくとのことです。
もし森の中でアサマイチモンジを見かけたら「わざわざ日本から来たんだな」と優しい目で見守ってあげてください。
情報元:Scoop Media