富士山にそっくりのタラナキ山を人格化。人と同じ権利が与えられる

スポンサーリンク

ニュージーランドには日本の富士山にそっくりな山があるのを、皆さんはご存知でしょうか。

その山をタラナキ山(Mount Taranaki)と言います。ちなみにタラナキ山にはMount Egmontという英語の名前もあります。

このタラナキ山が人間と同じ権利を得ることになりました。これはニュージーランドで3ヶ所目になります。

「人と同じ権利」というのはいったいどういうことなのでしょうか。今回のそんなちょっと不思議なニュースと、それにまつわるお話しです。

目次

富士山によく似た山「タラナキ山」

タラナキ山は日本人にとって少し特別な感情をいただくかもしれない山です。というのも富士山にとても形が似ているからです。

Mount Taranaki

スポンサーリンク

この山。富士山だと思いますか?それともタラナキ山だと思いますか?

タラナキ山です。

そして富士山がこちら↓

Mount Fuji from the shinkansen

ものすごくよく似てますよね。右のポコッと出っ張っているのも同じです。タラナキ山の方が少しだけ先が尖っているのと全体的にデコボコしています。

タラナキ山はこの形があまりにも富士山に似ていることから、2003年にアメリカで制作された「ラストサムライ」で富士山の代わりにタラナキ山が使われました。この映画には渡辺謙や真田広之、小雪などが出演しました。

スポンサーリンク

撮影当時、多くの在住日本人がこの映画に出演したそうです。実際、ワーホリ時代の友人数人が出演して、DVDを鑑賞しながら「これうちの娘!」と盛り上がっていました。

ところで最近のDVDやBlu-rayって安いですね。ラストサムライのDVDやBlu-ray、Amazon.co.jpでは900円とかです。

タラナキ山に人と同じ権利が与えられる

少し余談が長くなりました。今回のメインテーマは「タラナキ山に与えられた人と同じ権利」についてです。

先日、政府から「タラナキ山(Mount Taranaki)が人と同じ権利を与える」と発表になりました。実は「人と同じ権利」が与えられたのはニュージーランドでは3ヶ所目です。

他2ヶ所というのは、去年テウレウェラ国立公園(Te Urewera National Park)が、そして今年ワンガヌイ川(Whanganui River)に「人と同じ権利」が与えられました。

「人と同じ権利が与えられた」とはいえ、山は人ではありません。そのため自分で何かを主張したりすることはできません。

そのため地元の8つのマオリ族と政府が共同後見人になり、山の意見を代弁することになります。

スポンサーリンク

「人と同じ権利を得る」ということは、人と同じように誰かが山を汚したり、傷つけるようなことがあればそれは犯罪扱いになります。

近年、タラナキ地方は世界でもっとも有名なガイドブック「ロンリープラネット」で賞賛されたことで観光客が急増しました。今回の合意によって急増する観光客から「環境・景観を守ること」ができるとと政府は述べています。

ちなみに今回の合意にはマオリ族にとって不平等条約であったワイタンギ条約について政府は地元のマオリ族に謝罪をしました。ただし、それについてお金が支払われたりすることはありません。

さらに「ちなみに」なんですけど、ワンガヌイ川に人と同じ権利が与えられた時、政府はマオリ族に対して、裁判の損害賠償と川の環境改善費として90億円を払わなければならなくなりました。

条例で縛らず、人と同じ権利を与える意味

ニュージーランドでは山や川、国立公園に人と同じ権利を与えることがどんどん増えていますが、これにいったいどんな意味があるのでしょうか。

多くの場合、条例などで保護していくことが多いですよね。

以前、マオリの人たちは樹木や水、大地など自然にはそれぞれ「Mana」と呼ばれる霊的・精神的なものが宿ると考えていると聞いたことがあります。マオリ族としてはそのマナの権利を認めさせる、そしてマオリ族の人はその代弁者になるということなんでしょうね。

条例ではないので、その都度対応できる良さはあると思います。また何か開発計画が持ち上がっても「山が嫌だと言っている」この一言で抑制することができるし、逆に条件次第で「山は歓迎している」といえば開発の後押しができるという柔軟さがあります。

スポンサーリンク

「柔軟さ」という言葉を使いました。
でも、そんなことを言ったらいけないのかもしれませんけど、実際のところは自然物に対して「代弁」という言葉を使って、代弁者が人格化した自然を自分たちの都合が良いように使っているだけにしか思えません。

 

どうなんでしょう。この自然物に人と同じ権利を与えるという話。

情報元:New Zealand HeraldThe Guardian ほか

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

元NZ在住40代男性。大阪在住。2005年からニュージーランド15年、カナダで1年の生活を経て2022年に日本帰国。ブログ運営が仕事。

目次