ニュージーランドの国立公園に「人と同じ権利」が与えられる

ニュージーランドは世界で初めて女性に参政権を与えたり、8時間労働や最低賃金など労働者の権利を世界で初めて決めるなど、さまざまな権利を世界で一番最初に認めた国として世界的に知られています。

世の中でさまざまな権利が認められるなか、ニュージーランドは世界で初めて「国立公園」に人と同じ権利が与えられたそうです。

いったいどういうことなのでしょうか。

公園に人と同じ権利が与えるって何?

今回、人と同じ権利が与えられた国立公園はTe Urewera National Park(テウレウェラ国立公園)です。
場所は、ニュージーランドの北島、ワインの産地として有名なヘイスティングス地方の北側にあります。

テウレウェラ国立公園は、広さ約2,000平方キロメートルもある広大な森です。
2,000平方キロメートルといってもわかりにくいですよね。琵琶湖が670平方キロメートルなのでその3倍、、大阪府が1,900平方キロメートルなので、それより一回り大きく、東京都が2,200平方キロメートルなので、東京よりは一回り小さい。そのくらいの広さです。

この森は1954年に国立公園に指定されましたが、2014年に国立公園ではなくなってしまいました。それはなぜなのかというと2014年にTe Urewera Actという法律が施行されたからです。

その法律によってテウレウェラ国立公園は「人と同等の権利を有する森」となりました。法律Te Urewera Act 2014にはこのように書かれています。

Te Urewera is a legal entity, and has all the rights, powers, duties, and liabilities of a legal person

意訳すると

テウレウェラは人と同じ権利と力、義務、責任を持つ存在である。

つまり「人権」を持っているということなんですね。なんだか不思議ですよね。森に人権って。
そのため、人間が他人を傷つけてはいけないのと同じで、森も傷つけられたら訴えることが出来ます。とはいっても森自体が訴えることは出来ないので、この森を管理している団体が代理で法的な手段を取るなどしてきます。

また、この法律が施行されたことで、森は国の所有物ではなくなったため国立公園から外されることになりました。また、それまではニュージーランドの環境省(DOC)が管理していたものも、森の管理団体が面倒を見るようになっています。

どうしてそういうことになったのか

どうして森に人と同じ権利を与えることになったのでしょうか。

もともとこの土地はマオリ族にとって神聖な土地でした。この土地にはマオリ語でManaと呼ばれる魂のようなものが宿り、森自体が人格のようなものを持っていると考えられてきました。

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なんだかロード・オブ・ザ・リングに出てきた巨木の生き物(?)を思い出してしまいました。
あれは1本1本の木が生き物だったんですけど、今回は森自体が1つの生命と考えられています。

そんなこんなで「命」と考えたとき国の所有物であることはおかしいとマオリ族が訴え続けていたそうです。それが2014年に認められることになりました。

ちなみにこの法律が施行されたからといって、観光客が入れなくなるようなことはありません。今まで通りトレッキングなどはすることができるそうです。

さらに現在、ニュージーランドは似た案件を抱えています。
Whanganui Riverというニュージーランドで3番目に長い川にも人格があると訴えがあり、早ければ年内にもテウレウェラ同様の権利が与えられるかもしれないそうです。

なんだか雲を掴むような話ですね

このニュース。なんだか雲を掴むような、なんとなく意味がわかるようなわからないような話ですね。

人と同じ権利と義務、責任を負うということは納税の義務とか選挙とかどうなるんだろう?とか、結局のところ森を管理する人たちの意志ですべてが決まってしまうから「森の人格」って何だろう。。?とか余計なことばかり考えてしまいました。

このニュース。不思議なのは海外では報じられているのにニュージーランドの大手新聞社のstuff.co.nzやNew Zealand Heraldではほとんど報じられていないんです。法律まで2014年に制定されているのにです。

何かあまりニュージーランド国内では報じたくない事情とかあるんですかね。

個人的には国の管理を外れたことで、この地域がマオリ族にとってやりたい放題の場所にならなければいいなと思います。この森がある地方はマオリ族が多く、あまり治安が良いところではないと聞いたことがあります。ここで大麻の栽培をしたり、何か犯罪の温床とかにならなければいいなと思います。

情報元

In New Zealand, Lands and Rivers Can Be People (Legally Speaking) | New York Times ほか

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