英語の名前 “Naomi” はもともと日本語ではなく英語だった!?

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皆さんの周りに「ナオミ」という名前の人いますか?

世界的に活躍している人だと「大坂なおみ」さんが挙げられますね。他にもテレビに出ている人だと「トラウデン直美」さんや、「渡辺直美」さん、「西田尚美」さんなどがいます。

また「ナオミ」という名前は女性だけ男性でも使われる名前です。例えば日本人で初めてエベレストに登頂した登山家の名前が植村直己さんです。

この「ナオミ」という名前は、アルファベットで書くと “Naomi” です。”Naomi” という名前は日本だけではなく海外にもあります。

“Naomi” という名前は英語圏だけでなく多くの言語で使われる名前なのですが、もともと日本発祥で海外に輸出された名前なのでしょうか。それとも海外から輸入された名前?もしくはたまたま同じ名前の綴り(スペル)だったのでしょうか。

この記事の目次

英語では”Naomi”を「ナオミ」と発音しない

まず最初に知っておきたいことがあります。それは「Naomiはナオミと発音しない」ということです。

発音方法をローマ字にした場合、”neiOUmi” や “neiAmi” と発音します。ちなみに大文字・太字のところが強く発音するところです。カタカナで書くと「ネイオウミ」か「ネイミ」ですね。

ネイティブスピーカーがどう発音するか、百聞は一見にしかずです。Youtubeの動画をご覧ください。

動画に出てくる女の子は “Naomi” という名前が発音できず苦戦しています。それをお母さんが子どもがわかりやすいように3つの音に切って「ネイ・オウ・ミィ」とハッキリ教えています。

他にも大坂なおみさんがゲスト出演したアメリカのテレビ番組でも、司会者が彼女を紹介するとき “Please welcome, Naomi Osaka”という台詞で「ナイオミ オサカ」と発音しています。

また2009年に公開された「セブンティーン・アゲイン」というコメディー映画では主人公は “Naomi” という名前が登場します。ちなみに主人公は”Naomi”が上手に発音できずとても苦戦します。

もちろん日本人が親しい友だちにいる外国の人は “Naomi” を「ナオミ」と発音してくれるかもしれませんが、一般的には「ネイオミ」や「ネイアミ」と発音するようです。

余談ですが、その昔 “Naomi Campbell” が出演するCMで「ナオミよ」という台詞がありました。あれも本来なら「ネイオミよ」のはずなんですね。

このCMを知ってる人は同世代かもしれません(世代がバレてしまいます)

“Naomi” の由来は日本語ではない

それでは “Naomi”の由来は一体なんなんでしょうか?

いろいろ調べてみたところ、”Naomi”の由来は日本語ではありませんでした。英語を含め、西洋では歴史ある由緒正しい名前であることがわかりました。

“Naomi” の由来は紀元前4世紀頃に書かれた「旧約聖書」に遡ります。

旧約聖書には「ルツ記」という話が登場します。ルツ記の中で女性の主人公「ルツ」の姑として登場するのが “Naomi”です。日本語の旧約聖書では「ナオミ」と訳されています。

ちなみに旧約聖書の “Naomi” は英語表記の名前で本来の旧約聖書の言語では 「No`omi 読み:ノオミー」と書きます。

このことから「Naomi は日本語由来の名前ではない」ことが確認できます。

日本の「ナオミ」の名前の由来

“Naomi”の名前の由来がわかったところで、次に疑問として残るのは、日本人の名前の「ナオミ」が海外の”Naomi” とどのように関連しているか?ということです。

「ナオミ」が生まれたのは谷崎潤一郎のおかげ?

日本で「ナオミ」という名前が生まれた由来にはいくつかの説が存在します。その中の1つはが1925年に出版された谷崎潤一郎の小説「痴人の愛」に登場した女性「奈緒美」です。

小説の中にこんな一文があります。

「奈緒美」という名前が、大変私の好奇心に投じました。「奈緒美」は素敵だ、NAOMI と書くとまるで西洋人のようだ、と、そう思ったのが始まり

小説の中で「奈緒美」という名前は、西洋的な響きを持たせようと試みたことから生まれた名前だということがわかります。

この谷崎潤一郎の小説「痴人の愛」が「ナオミ」という名前を広げることに一役買ったと考えられています。

いぜん、NHKの番組で「なぜヒロインの名前をナオミにしたのか」について「当時の日本は「子」を付けるのが大ブームだったが、西洋への憧れの集大成として西洋的な名前にしたかった」としています。

では、どのくらい「痴人の愛」が出版された1925年当時「子」が付く名前が多かったのか、明治安田生命の「生まれ年別名前ベスト10」で1925年当時一般的な女性を調べてみることにしました。

するとトップ10の名前は1位:幸子、2位:文子、3位:美代子、4位:久子、5位:芳子、6位:愛子、7位:信子、8位:和子、9位:千代子、10位:八重子でした。すべて「子」が最後に付いていました。

「痴人の愛」よりも前に「ナオミ」という名前はあった

それでは、1925年に出版された「痴人の愛」よりも前に日本に「ナオミ」という名前がなかったのか?というと存在していました。

ただし資料の中で残っている名前は、女性の名前ではなく男性の名前です。
昔は「ナオミ」をはじめとした「最後にミがつく名前」は、歴史の教科書にも出てきた「岩倉具視 いわくらともみ」のように男性が多かったようです。

  • 松園 直已(まつぞの なおみ) 1922年-2011年 実業家
  • 松坂 直美(まつざか なおみ) 1910年-2002年 作詞家
  • 西村 直己(にしむら なおみ) 1905年-1980年 政治家
  • 谷口 尚真(たにぐち なおみ) 1870年-1941年 軍人
  • 前田 直躬(まえだ なおみ) 1714年-1774年 加賀藩の藩士

今回調べただけで1700年頃には「ナオミ」という名前が男性の名前として存在していました。

つまり谷崎潤一郎の小説で初めてナオミという名前が生まれたわけではなさそうです。

最初は洗礼名として「ナオミ」が普及したのでは

日本にキリスト教が入ってきたのは1500年代半ば。フランシスコ・ザビエルが宣教師として日本に持ち込んだとされています。

その後、キリスト教が日本で広がりました。そのとき、日本語の名前として違和感なく、またキリスト教として由緒ある名前である”Naomi”が洗礼名として多く使われ、徐々に広まったという説があります。

キリスト教が禁じられていた頃は、あくまでも洗礼名として戸籍上の名前や通り名としては使われず、キリスト教が解禁された後、しばらくの間は戸籍の名前として使われても、今で言う「キラキラネーム」のような扱いだったのかもしれません。

それが明治・大正、昭和という時代を経て徐々に「ナオミ」という名前が一般化していったのかもしれません。

ちなみに上でも紹介した明治安田生命の「生まれ年別名前ベスト10」によると1965年に「直美」が女性の人気の名前トップ10にランクインし、徐々に順位を上げ、1968年から1970年まで1位を獲得していました。

まとめ:Naomiとナオミの関係

最後にまとめます。

いろいろ調べてわかったことは、海外で使われる “Naomi” は日本由来ではなく、旧約聖書を由来とする由緒ある名前でした。

一方、日本のナオミが海外の “Naomi” とどう関係しているのかハッキリとわかる文献のようなものもありませんでした。

わかったことはもともと「ナオミ」は、女性の名前としてはあまり使われず、むしろ男性の名前として使われていたこと。

また洗礼名とは古くから使われていた可能性が高いこと、そして谷崎潤一郎の「痴人の愛」が多くの人に読まれたことで、「女性の名前」として徐々に一般的になった可能性が高いということでした。

名前には名付けられた当時の時代や文化が絡み合っていて、名前の背景はとても興味深いです。

今回は「日刊英語ライフ」の本来の英語の話とは少し趣旨が逸れてしまったかもしれませんが、名前の由来などに興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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